さ サックス。

中学校の家庭科の先生が、吹奏楽部の顧問だった。
中学校時代は、テニス部をちょっとかじって、
その後は帰宅部だった。
中三の時に、吹奏楽部の演奏会に行ってみたら、
なんとその顧問の先生が、アルトサックスを吹きながら、
ちょちょいと指揮をしていた。
その姿が、あまりにかっこよくて、
「高校に入ったら、吹奏楽部に入ってアルトサックスをやろう」と
決めた。

変てこな先輩たちに囲まれながら、入部した吹奏楽部。
初心者の私にとって、中学から楽器をやっていた子たちが、
うらやましくて、追いつこうと必死に練習した。
毎日、練習することが楽しくて楽しくてしょうがなかった。

いつの間にか、周りが大学受験に向けて勉強をし始め、
でもそんな中、私は1人、サックスを練習していた。

私には、サックスしかないと、思った。

もちろん親の反対もあった。
そのせいで、高校を卒業後、一年間フリーターをしていた。
その一年のブランクの後、都内の某音楽専門学校に入学。

私にとって、サックスは。
息子みたいなもの。
自分が思った通りに、鳴ってくれて、
自分を表現するものであって、とても愛しいもの。

そんな私でも、やっぱりいくら練習しても吹けない時がある。
いくら吹いてもうまくならない時が、ある。
吹きたくなくなる時も、ある。
そんな時は、吹くのをやめてみる。
そうすると、しばらくすると、なぜだか吹きたくなるもので。
そんな時、
あぁ私って、やっぱりサックスが好きなんだなぁって思う。

 ずっと、一緒にいよう。よろしく頼むよ。