も 盲導犬。

街で盲導犬を見かけた。
じーんと目頭が熱くなる。
視覚障害者のお手伝いをすることを
自分の生き甲斐として、自分の使命として、育てられた盲導犬。
そのまっすぐで、何事にも疑いを持たない目を見ていると、
涙が出る。

“なんて偉いんだろう”と、思わず頭を撫でたくなるが、
邪魔をしてはいけないと、手をひっこめる。

どうやっても、人の寿命より短い運命だからこそ、
人は、犬に無償の愛を注ぐのだろう。

人のために尽くして生きる生涯。

人は、何かのために誰かのために、そんなにも全身全霊一生をかけて、
尽くすことが出来るだろうか。
何かに頼り、誰かに守られ、愛されて、
支えられて生きるのが、人。

自然の中で、自分の力だけで、生きていくことを知っている
動物たちには、かなわない。

動物の純粋さから、学ぶことはたくさんある。
人は、何か大切なものをひとつ忘れて生きているようにさえ思える。

黄色いブロックの上を歩く、一匹の盲導犬に頭が下がる思いだった。
心の中で小さく「がんばって」と呟いた。